どれ程の必要が。

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Steinberg『CUBASE ELEMENTS 8』レビュー


CUBASEシリーズ中、DAW単体で販売されている中では最下位グレードとなる「ELEMENTS 8」を導入。

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元々同グレードのCUBASE ESSENTIAL 4を使っていたのだけど、先日ドングルを失くすという「ああ、いつかはやるよね」と思っていた事件が起きたことを機に8にバージョンアップしました。「バージョンアップ」と言っても特に優待とかがある訳でもなく、普通に買い直したんですが。

ダウンロード購入で10,800円と、メチャクチャ安いのが特徴。
ESSENTIAL 4は3万くらいで、それでも当時は安いなと思った記憶があるのでこの値段は破格。
オーディオインターフェースにバンドルされているAIやLEと比較しつつのレビューとなります。

何故ELEMENTS 8?

余談になりますが、CUBASE AI 8をバンドルしているUR12がちょうどELEMENTS 8と同価格なので、ゼロからDTMを始めるのであれば断然そちらを勧めます。
価格帯からは考えられないくらい高機能なオーディオインターフェースとDAWが同時に手に入るので、「自宅で打ち込み+ギターやボーカルの録音だけ」という用途ならこれで充分。無理して上位グレードのモノを買っても端子と機能を持て余すだけなので、問答無用で一番安いUR12を買うのが良いかと思います。

さてそんな中、単体製品で最下位グレードのELEMENTS 8をチョイスするメリットは何か?

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AIやLEには付属しないこの「GROOVE AGENT 4 SE」が個人的には決め手になりました。
AIシリーズにもこれまでのELEMENTSシリーズにも付属していなかった新しいVSTiで、使い勝手の良い軽量なドラムサンプラー。フルバージョンに当たる「GROOVE AGENT 4」の機能限定版とのこと。波形編集やエフェクト処理ができ、パーツごとのパラアウトも可能なので、普通にメインのドラムサンプラーとして使えてしまいます。
上位グレードのモノと比べるとサンプリングネタとプリセットは少ないですが、これだけでも充分に1万円の元は取れるのではないかと。

以下、その他DAWとしての機能の所感。

トラック数にはESSENTIAL 4と同様に制限がある
が、自分の制作スタイルではトラック数が不足して困ったことは今のところなし。
バンドサウンド主体であればこれで充分の模様。

ESSENTIAL 4と比べると格段に音抜けが良くなった
7から刷新された新しいミキシングコンソールが良い仕事している模様。
コンプ系のチャンネルストリップがすごく良くて、プリセットを活用すると音作りがとても楽になった。
ボーカルやアコギ、ドラムなどマイクで収録した音源には特に有効な印象。

新機能のASIO GUARD 2も、地味ながらかなり有用
レイテンシーを詰めるところは詰める、サボるところはサボる、というふうにソフトウェア的に負荷を分散してくれる機能みたいなのだけど、これまで音切れやノイズが発生していたちょっと重たいプロジェクトをELEMENTS 8で開いてみると、スムーズに再生してくれた。そもそもあまり高負荷なプラグインやソフトシンセは使わない(というか持ってない)のだけど、それでもKONTAKTとGuitar Rigを数トラックずつ挿してるともう結構いっぱいいっぱいだったので、最低限のレイテンシーを担保出来る点でGuitar Rigユーザーとしてはありがたい機能。マシンスペックが低い人には非常に有効。

付属音源がまともに
ESSENTIAL 4の時にはGM音源分しかついてこなかった付属音源HALion Oneも、マルチティンバーのHALion Sonic SE 2にパワーアップ。音色数も688と充実していてうれしい。

総評:コストパフォーマンスに優れたパッケージ

既に用途に見合ったオーディオインターフェースを所有している人が、色々やりくりしながら使うDAWとしては素晴らしいモノだと思います。
e-licenser対応でドングル不要になったのも嬉しいです。
(従来のドングルを使う運用ももちろん可能)。

一方で、エントリー市場においては正直微妙な立ち位置なのかなと。
そもそも「エントリーレベルの単体DAW」を必要とする層がどれだけいるのかわからない上に、ゼロから始める入門向けとしては先述の通り「オーディオインターフェース+DAW」のバンドルセットを買うのがベストと思える上、「10,000円で買えるエントリーパッケージ」として絞った場合、上述のUR12の他にVOCALOID 4 EDITORという選択肢も出てきます(最新のVOCALOID 4 EDITORにはAI 8が付属している)。

まあ要は「AI 8+何か」との比較になってくる訳ですが、このへんの比較表なんかを参考にしつつ、自分に必要な機能で選んだら良いのではないかなと。
とにもかくにも、個人的にはコスパ最高の大変ありがたい製品でした。

  

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